みえこどもの城
子育て研修講話 



被災地における“こどもの遊びとこころのケア”
●講師:三重県立小児医療センターあすなろ学園学園長 西田寿美さん




平成23年9月11日(日)
、みえこどもの城にて子育て講話を開催しました。

西田寿美(にしだひさみ)さんを講師にお招きし、「被災地における"こどもの遊びとこころのケア"」をテーマにお話しいただきました。

はからずもこの日で東日本大震災からちょうど半年。

未曽有の震災にさらされ、その被害を目の当たりにし、一瞬にして日常を奪われてしまった子どもたちに、大人は何をしてあげられるのか?

先生のお話には、被災した子どもばかりではなく、小さなこころを痛めるすべての子どもたちに向き合うためのヒントがたくさん詰まっていました。 


今回の講師、西田先生です 一度も演台につかれることなく、
聴講者の近くで語りかけるように
お話しいただきました


 
震災のように耐え難い事態を経験してしまった子どもは、トラウマ(心的外傷)から生じるさまざまな症状を発しますが、直後の混乱の中では周囲もなかなかそのサインに気づいてあげる余裕がありません。子どもだけではなく大人だってみんな傷つき絶望しています。

そんな中、「子どもが安心できるためには、まず周囲の大人が精神的に安定し元気でいなければならない」と、先生は強く語られました。

そのためには、インフラを整備するなど、まずは大人が落ち着ける支援が急務だというお話には納得です。決して子どもだけの問題でも、物理的な問題でもないんですね。

こころの奥深くに残る悲しみや傷を消し去ることはできませんが、和らげる方法はあります。「いつも見守られている」という安心感をあげることが、子どもにとっては絶対的に必要だそうです。


今回の講演では、日頃の子育てにも役立つ具体的な子どもとの接し方も教えていただき、聴講後の受講者からは、

  「まずは大人の支援から というお話で、視点が変わりました」

  「専門的な部分もわかりやすく、今後の自分たちの子育てや仕事にもすぐ活かせそう」


との声が多く聞かれました。

ひとつでも多くの笑顔を取り戻すために、私たち大人は包容力と知識を身に着けて、生かされた大切な命に向かいあってあげたいものです。




   西田寿美先生プロフィール
 1973年  三重県立大学医学部卒業 
 1974年  県立高茶屋病院児童部門あすなろ学園で児童精神科臨床に従事  
 1986年   知的障がい児・障がい者更生施設いなば園勤務
 1989年  こども心療センターあすなろ学園に戻る 
 2001年  あすなろ学園園長に就任 
 2006年〜  日本児童青年精神医学会理事
 ※三重県立小児心療センターあすなろ学園HPより引用